先日、開業初年度の経理で、押さえておくべき5つのこと。について書きました。
この記事です。
この記事の最後に2つの悩みについて書きました。これを税務署に電話で聞いてみましたので、今日は、その報告をします。
以下、今回の記事は、いろんな言葉の解釈を知っておくと、理解しやすいです。なので【質問】【税務署の回答】のあとに、解説を書きました。
ご参考にしてください。
開業日の取り扱いについて
【質問】開業日よりも前に支払った経費は「開業費」としての扱いになる。この開業費には「仕入れ分」を入れることができない。でも、開業日よりも前に売上が上がっていて、実際には仕入れも行ってる。この場合、開業日前の「仕入れ分」については、経費として扱って良いのか?
【税務署の回答】実際に事業として支出した費用については「経費として扱って問題ない」です。開業届に書いた開業日について聞かれたら「こう書いちゃったけど、実際には開業日よりも前から事業をしていたので、開業日より前のものも経費として扱いました。」と税務監査の方に自分の解釈を説明できれば良いと思います。
とのご回答でした。以下、解説です。
開業日とは
開業日というのは「事業をはじめた(オープン=開いた)日」という意味です。開業届を提出するときにも記載するところがあります。
一般的には、開業から1ヶ月以内(開業届をだす1ヶ月前まで)の日付を書くのが好ましいです。
ただ、実際には「1ヶ月より前の日付を書いても良いですよ。」という感じなようです。
開業費とは
開業費というのは「開業するために特別に支出した費用」という意味です。
「開業するために”特別に支出した”費用」というのは、freee会計のサイトを参考にすると
- 開業のためのセミナーへの参加費用
- 調査のための旅費、ガソリン代
- 通信費用
- 打ち合わせ費用
- 関係先への手土産
- 開業までの借入金利子
- 広告宣伝費
- パソコン購入費用
このあたりです。
かかった費用をすべて「開業費」として扱うことができます。
開業費は、ものすごく特別な仕分け課目です。
経費というのは、通常、会計年度内で精算する必要がありますが「開業費」については、扱いがちがいます。
開業費は経費ではなく「固定資産」として扱う。
開業費は、かかった費用の総額を「固定資産」として扱います。固定資産として扱うものは、会計年度を何年分もまたいで経費精算します。これを減価償却といいます。
減価償却とは
固定資産を減価償却するとき、経費を何年分に分けて精算するのかは、国税庁の「耐用年数」によって決まっています。
例えば、パソコンの耐用年数は4年と決まっています。
仮に30万円のパソコンを買ったとすると、
30万 ÷ 4年 = 7万5千円
この7万5千円が、各年度の経費として認められる額ということです。
経費とするときの仕分けは「減価償却費」としましょう。
【ここが特別!】開業費は、任意償却できる。
ただ、開業費は、この固定資産の中でも非常に特別なもので「任意償却」として扱うことができます。主に3つの特徴があります。
- いつでも経費として扱える。
- 総額のうちいくら分を経費とするか、自分で決めていい。
- 償却の期限が、決まっていない。
これができると、
利益があがらなかった年度/経費がふくらみすぎた年度で「開業費を減価償却しない」という選択をとることができるのです。そして、利益が上がりすぎた年度にまとめて「開業費を減価償却する」という選択を取ることができるのです。
これは税金対策としても、とても有用な知識だと思います。
しかし、次のことに注意が必要です。
開業費に”含めてはいけないもの”は3つ
開業費には「含めてはいけないもの」があります。
以下の3つです。
- 仕入れのための費用(仕入れ原価)
- 実際に商品が売れたときに「仕入れ原価」という扱いになるため。実は、仕入れたときは厳密には「仕入れ」ではないんですね。
- 10万円以上の資産
- これは経費や開業費というよりは、固定資産として減価償却の扱いですね。
- 経常的に発生する費用
- 開業のために特別に支出したのかどうかが、曖昧だから。※ここも、ちゃんと自分の言葉で説明ができればOKという見方もあります。
このルールがあるために、izumikunは悩みました。仕入れの費用が経費として扱えないとなると、今年は白色申告(控除48万円)なので、利益分が出過ぎてしまうとみたからです。
実際は、開業日前の分の仕入れも経費にできるとのことになったので、経費にしようと思います。なので、開業まで(事業売上が最初にあがった日まで)にかかった費用(例えば、許可申請の手数料とか、そのための交通費とか)は、開業費として計上しようと思います。
- 事業ではじめて売上があった日まで=開業費
- はじめて売上があった日の分から年度末まで=経費
こんなイメージで仕分けをしていこうと思います!
ぜひ参考になさってください○
10万円以上の物品を購入するときの仕分け
※家事按分する場合
【質問】今年度に10万円の備品購入がありました。通常、10万円以上の物品購入は、固定資産として記帳をして、税務署が定めている耐用年数表にしたがって購入費用を減価償却していく必要があります。ただ実際、プライベートでも使用するため、家事按分の扱いをしたいと考えています。このとき使用割合を、事業として使うのが6割、プライベートとして4割とすると、事業分6割(6万円)分を経費として扱うことになります。とするとこの場合は、固定資産として減価償却をせずに6万円を年度内経費として計上することになるのでしょうか?
【税務署の回答】おっしゃる通りです。10万円のうち事業で使用する部分を家事按分して、経費として計上することになります。今回であれば、減価償却ではなく、6万円分を経費として扱うことになります。
とのご回答でした。以下、解説です。
10万円以上の物品は、固定資産として扱う。
ここについては、1つ目の質問で解説したので参考にしてください。
家事按分について
家事按分とは「家に関する経費と、事業に関する経費を、按分しましょうね。」ということ。按分というのは「基準を設けて分け分けしましょうね。」ということ。
例えば車を購入したとして、プライベートとして使うけど、事業としても使うということは十分にありますよね。この場合、事業として使っている割合で「支払った総額」を割って経費として扱って良いですよ。という感じです。
固定資産と、家事按分の両立。
固定資産は、10万円以上の「経費」を減価償却するものです。そして、家事按分は、購入費した物品の”事業で使っている割合”で購入費を割ることで「経費」として扱えますよという考え。
つまり、購入費の10万円のうち、事業で使っているのが6割であれば、6万円分を経費として扱うことになります。6万円の経費は、固定資産の扱いにはならないので、年度内経費として計上する。
と、こうなるわけですね。
おわり。
というわけで、色々と解決できました。
分からないことは「ググる」のもありだし、ときには「一番知ってそうな人に聞く」ってのもありですね。なんとなくあってそうだと思えることでも「それで合ってるよー!」と言ってもらえるのは、ただ情報を持っているだけでは感じられないものです。
確かな情報を集めて、自分のものにして、使っていきましょうね。
それでは、今日も素敵な1日を🌿