一枚の板のこちら側。/できなかったことが、できるようになっていく。

一枚の板のこちら側。

トイレに入ってた。トイレに入って、ズボンを下げて、用を足す。要を足しても、しばらくはぼうっとしたり、そこらへんにある雑誌を読んだりして、そのまんま過ごしたり。そんなことも、あったりなかったり(あんまりないけど、たまにある)。

用を足した後、手を洗って、水滴をぬぐう。その後に、ちょっとだけ髭のチェックをしてみたりもする。あ、伸びてきてるな。でもまだ剃るほどでもないか。いや、今日剃らないと、ジョリジョリって言われるかもな。そんなことを思いながらも、その場ではどうせ剃れないので、ただ指先で髭をジョリジョリして、ちょっと変顔してみたりする。

メイクアップを気にされている方(婉曲な表現をわざわざするのは「特に女性なら」と書いてしまうには、あまりに不都合の多い世の中であるからである。)においては、髪の毛を整えたり、リップを塗り直したり、ファンデーションというのか、コスメティックの類を整えたりもするのでしょう。

そのお店の「一枚の板」は、とてもとても「ただの板」なので、ぼくは不思議に思った。山の上の公園では、和式便所のくせに、下から数センチは隙間が空いてるし。ぼくたちはお互いに案外、一枚向こうとこちらにいるだけなのかもしれない。

一寸先は闇。
紙一重。
トイレはいつも、板一枚。

いろんな慣用句があるけれど、ものごとが好転するも悪転するも、ほんのちょっとのことなのだ。でも、そのほんのちょっとがあるか、ないかで物事が大きく変わる。

そして、その一線を踏み越えてはいけない。

それを互いに、そして暗黙に、了解しあって、成り立っている。

それは、人と人との関係でも同じ。いくら友達でも厨房には入って欲しくないし、いくら恋人でもスマホを見合っていては、、、と、ぼくは思う(実際のお話では在りません。)。

一枚の板のこちら側に立つことで、その境界を認識できる。飛び越えてはいけない一線が、そこかしこにある。まるでそれは、交差点の信号のよう。目には見えないけれど、確かにあるのだ。赤信号をみると、体が動かなくなるほどの、メデューサのような板が(一線が)、そこかしこにあるのだ。

できなかったことが、できるようになっていく。(成長過程をご報告的な文章。)

できなかったことがある。そして、できるようになったことがある。今もできないことがある。これからもできないことがある。ビジネスっぽく言えば、物事はこの4象限に分けられる(なんつって)。

とは言え、それはそれで、本当に近いことのようにも思う。喫茶店でははじめ、ドリンクと氷だけを出していた。その後、ドリンクだけになった。そして、ランチメニューとしてカレーが生まれた。それも、はじめは日本的なカレーだったけれど、今はスパイスを配合してつくる国産鶏の手羽元バターチキンカレー。スパイスの調合など、したこともなかった。

ここまで、おおよそ4ヶ月。成長するには遅すぎる。自分にしては早すぎる。そういう中を、生きている。そして、今はまだカレーランチだけれど、ドリンクセットのプレートランチをしていこうかとも思っている。あと、ランチと喫茶の時間を分けてみようかとも、考えてる。あと、クレジットカードやQRの決済も導入して行こうか。

ひとつずつ、できなかったことが、できるようになっていく。だからきっとこれからも、そうだ。できなかったことが、できるようになっていく。そのための今だ。今、自分がすることが、未来の自分の「できる」につながる。

そうかといって、難しく考える必要も、肩肘を張る必要もない。ただ、体や心の動く方へ進んだらいい。体が勝手に教えてくれる。心が勝手に教えてくれる。

もしくは、やらざるをえなくなったことに没頭してみるのもいい。理由とか大義名分は後付けで考えるか、信念で現実に引き戻すかでしか、生まれない。ぼくにはとことん信念などない。後付けで考える。だから、その瞬間は、ただ、没頭してやればいい。やった後に、

どうして、これを始めたんですか?

と聞かれて、もろもろの社会のあれこれひっつけてお話しする。どうやら世の中の人は、そういうもんらしいということに、早く気づくと、ずいぶん楽になれるかもしれない。大概のことは「たまたま」とか「偶然」だったりもする。

今いる場所で、できることをする。そうしたら、ちょっと背伸びしたこともやって「みたくなる」ので(不思議なもので、勝手に生まれてくるのだ)、そしたらそれをやればいい。そうやって、ぼくはひとつずつ重ねていく。

1つずつしかできない不器用な自分を許して、それでも今日を生きる。立派な文章に比して、全くもってヘンテコな自分を恨みたくもなるけれど、それでもいいよと許してあげて、ただ淡々と、続けていく。

誰かが10日でやってのけたことを、1年かけてやればいい。

それが、ぼくにとって必要なことなんだ。それでいい。

明日は「ブランディング」の先生的な人がお店に来る。だから早めにお店を閉めるんですけど、ちょっと緊張。MEM.ってどんな場所なのかな。どんな風にみんなに見てもらいたいのかな。よくわかんないけど、またできることが増えていく。

しかも商工会議所でお世話になってる方からのご紹介あっての、この機会。本当にありがたい限りです。感謝です。

というわけで、
今日も素敵な1日を!それでは=