頑張って、死ぬなよ

頑張って、死ぬなよ。これは、今のぼくから(ぼくや誰かに)伝えたい想いの、一番かんたんな表現。頑張って死んだからこそ、言える言葉。

6月くらいに喫茶店をオープンした。夢というか、根拠のない話のようなのだけど、まるっきりニートだった最底辺の人間が、住居を手に入れて、仕事を手に入れて、仲間と出会って、なんとか生きていけそうだと思った先。喫茶店とか興味ない?と尋ねられ、あれよあれよという間に、喫茶店を始めることになった。

ニートをはじめて、たった1年あまりの間に起きた出来事だ。ニートになって群馬に行こうとしていた自分がそのまま群馬に行っていたらどうなっていたのかとも思うけれど、よくかわるくか、こんなハメになっている。

なんとなく、いい感じに振る舞える才能があると思う。ある程度、どうしたら正解かがなんとなく見えたりする。何でもかんでも思ったこと言うと人を傷つけるよな、だって人には「立場」というものがあったり、関係性というものがあったりするからな、だから今はこれを言うのはやめておこう。おやおや、あの人はなんだか言いそうで怖いな、くれぐれも言ってくれるなよ。と、何を隠そう、忖度なんてものは日常的なもので、なんの不思議もない日常生活動作。

ぼくの身に起きていること、それに直面した僕が振舞うものを見て、うまくやっていると思う人がいる。なんとなく、いい感じに振る舞っている、ように見えるからだ。誰も何も悪くはないのだけれど、ぼくはそんなに不器用でもないけれど、そこまで器用さをキープし続けられるほど、持久力や潜在的な体力の総量は、一般的な同世代に比べて遥かに小さい。周囲が思っている程度の、半分以下、それ以下とも言って言い過ぎではないほどに。

そんな自分の許容量を無視して、ついつい頑張りすぎた。理由は2つ。1つは、いい感じに振る舞おうとして、アルバイトと喫茶の営業を完璧に両立させようと思って、ほとんど休みを取らずに働かなければいけないと脅迫的になっていたこと。もう1つは、金銭的な不都合を解消し続けたいと願ったから。

家賃や保険料というものが、ぼくたちが生きているだけでかかってくることに不思議さを感じない人は変だと思う。そして僕は、不思議だと思うから、変じゃない非常にまともだと思うのだけれど、生きているだけでお金が必要になり、お金を稼ぐために働かなければならないという、働かなければいけないシステムが非常に簡単な構造で、すでに完成してしまっているというのは、ある種の絶望をぼくたちに届けるんだけど、そういうものに対する懐疑的な見方がいまだに拭えないでいる。

なぜ、そこにいるだけで、金がかかるのか。

そういう態度でいるから、喫茶店の店舗にかかる家賃や、住まいを維持するために支払う家賃やなんかを一挙にかかえることになったから、それをどうやって賄っていこうかというのは、非常に大きな課題だった。それに加えて、自分で未来の分の金も稼いどけよー!っていう現代なもんだから、はてさてどうやって金を工面するかと考えたら、長い時間働くしかねえな、という感じになった。

頑張りたくてというよりかは、頑張るハメになった。そして、死んだ。検査こそしてないけれど、おそらくコロナ(←インフルエンザもコロナウィルスなので、正直、だからどうした。としか思ってないが)にかかり、1週間寝込んだ。そして今は、その病み上がりにお腹の調子と話し合いを続けてる。

どうしてこうなったんだと思った時に、NewsPicksの番組「Weekly Ochiai」の「資ほん主ぎのみらい」なんて語って意味ある?をみた。そうしたら答えを見つけた。それは、アテンションエコノミーの話。アテンション=つまり、注意を引きつけることによって、経済は回っているということ。SNSによって、目を引くものが発信され続け、他のアカウントよりもずっとみてもらえるようなものを発信することで、より多く見てもらうことができる。そして商品の購入を促していく。

これは、比較の気持ちも産んだんだと思う。近隣にあるカフェの発信をみては、あーあそこはあんなにおしゃれなメニュー出してるな。とか、ああ、あそこはテレビの取材を受けたんだなとか。そういうことをいちいちインプットすることになってた。

だが自分は、非常に体力や持久力のない人間で、やろうと思ってもなかなか始められなかったり、すごいなああんな風にと思いつつ、じゃあ自分はどうしたらいいのかなんてことがなかなか見つけられず、時間だけが過ぎていった。

そんな自分とアテンションさせられる発信とを比較して、自分をどんどんと追い込んで行った。追い込んでいく自分を慰めるために(やれない理由を探すために)働いた。そして、21日連勤の真ん中で、コロナで寝込んだのだ。

いかに注意を引くかで経済は回るし、注意を引いた人ほど経済を回せる。でも、今それを手放した。自分に必要な分だけ稼げたらいい。自分が目指したいのは、自分がみたい景色は、誰かがやってるカフェの風景じゃない。だからそんなところと比較する必要なんてないし、目指す必要もない。あくまで、参考にしたりなんかしてみるくらいでいい。

大事なのは、頑張って死なないこと。

頑張るのはいい。ただ、優先すべきは、肉体の強度と状態だ。精神の強度と状態だ。そこが守られなければ、体は壊れ、心は崩れていく。だから、頑張って、死なないこと。

ポイントは、自分に集中することだ。周囲を見渡し過ぎると、自分を見失う。見失いそうだと気づいたら、自分をみたらいい。自分ばっかり考えすぎかなと思ったら、また、周囲を見渡してみるといい。

自分に集中して、学べ。今僕のホットワードは、大人が勉強することだ。大人の勉強。

学ぶ時間を意図的に作るのが今の僕の、中心地である。