いずみです。
古民家暮らしをしながら、DIYをしたり、畑をしたり、ブログを書いたりして暮らしています。時々、陶芸家さんのアシスタントをしたり、大工さんの日雇いをしたり、藍染職人の染めのお仕事をしたりしています。家弁タイムズという子育てファミリーに(基本、無料で)お弁当を届ける活動や、子どもも大人も隔てなく対話する時間「ダイアローグ」の運営をしたりしています。
MEM.という急須珈琲と菜食のランチを提供するお店もやっています。
「常滑焼まつり -2023- 2日目ありがとうございました。」というお知らせと「常滑急須珈琲の新しい提案についての考察。その2」を書いています。
常滑焼まつり-2023-2日目ありがとうございました。
2日目は、店主が地元のお祭りに参加しており、不在。ということで、通常のランチプレートに変わり、五目いなり寿司を作りました。売り切れ御免となり「もうないのか!」と、賑わいました。

「常滑急須珈琲の新しい提案」についての考察。その2
MEM.の看板メニューとなっている「常滑急須珈琲」について新しい提供の仕方を考えているので、それについて、書いてみようと思います。
前回は、
- なぜ、この提供スタイルなのか。
- 今もっている課題は何か
について触れました。
今回は、
- 本当は伝えたいこと
- じゃあどうするか
ということについて、正直あまりまとまってないですが、書いてみます。
本当は伝えたいこと
「常滑急須珈琲」を通して伝えたいことは
- 常滑焼の急須でおいしく珈琲が淹れられること
- 常滑焼(やきもの)の奥深さ
- 常滑焼の価値
- (珈琲急須を買う前に)実際の使いやすさ
この4点。
現在の抽出法で、これが実現できているかも含めて書いてみます。
伝えたい①常滑焼の急須でおいしく珈琲が淹れられること
ご家庭で、急須を使って、簡単に美味しく珈琲が淹れられる。
これは珈琲急須のコンセプトでもあります。
珈琲玄人にとっては「新しい珈琲体験」を。
日常でフランクに珈琲を楽しむ人にとっては「手軽さ」を。
今は「注ぐ」という行為に触れてもらえるように、抽出した珈琲が入った急須と空のカップをお出しして、ご自身で注いでいただいています。
でも、ご提供までには、
- 珈琲豆を測る
- 珈琲粉にする
- お湯で濡らす
- 蒸らし3分
- この間に急須とカップを温めて、セットを作る
- 抽出
- 温め用のお湯を捨てる
- 急須に注ぎ分ける
- 濃度の調整
- 提供
こんな感じの物凄い工程があります。笑
この間、お客さんは「待つ」のみ。
最長で待ち時間が10分を超える時もあります。
これでは「体験」ではありません。
- 新しい珈琲体験としても、弱く
- 「手軽さ」もお伝えできていない
伝えたいことが伝えきれてない状況にあると考えています。
伝えたい②常滑焼(やきもの)の奥深さ
常滑焼といえば「朱泥」と言われています。
見た目としては赤茶色の急須。
赤茶色となるのは、常滑の土の中に含まれている「鉄分」が酸化するためです。
常滑の急須の特徴は、釉薬をかけなくても(ガラス質のコーティングをしなくても)水漏れしないのが特徴です。
それは、土の中に含まれている鉄分が多いためです。
だからこそ、常滑の土は急須に向いており、急須の産地として広まったのです。
一方、MEM.で使用している珈琲急須は、赤茶色ではなく「銀色」です。
これは、土の中に含まれている鉄分が「酸化しない」ために、鉄分の色がそのまま発色として出ているのです。この銀色に光る変化のことを「銀窯変(ぎんようへん)」と言います。
焼き物の焼き方はいくつもあって、大きく
- 酸化焼成(酸化させて焼く)
- 還元焼成(酸化させず焼く)
に分けることができます。
土は同じでも、全く違った風合いを出す。
そのことが、触れて、感じて、体験することにより感じてもらえたら嬉しいと思うのです。
これは今のところ
- 酸化焼成した急須を紹介
- 口頭で焼き方の説明
を通して、お伝えしています。
しかし、それでは「へえー」までで「なるほど」というところまでは伝わっていない気もしています。
なので、
- カード
のようなものを用意して伝えるのもいい気がしています。
少し大きな参考ですが、東京にあるスターバックスコーヒーロースタリーでは、メニューごとに美しいカードを用意しており、メニューの特徴をお伝えしています。
ここが参考になるかなとも考えています。
伝えたい③常滑焼の価値
常滑には1000年の焼き物の歴史があると言われています。
今が2023年ですから、その半分ほどの歴史がそこにあるのだとすると、とても壮大なものを感じます。
現代は、去年と今年と来年に流行っているものが違うように、目まぐるしく変化してゆくものです。
しかし、長く続けていることは、伝統文化を継承していくことにおいて、非常に重要なことです。
日本文化遺産としても「常滑焼」は登録されており、これからも受け継いでゆくべきものと思います。
しかし、使い手がいなくなれば、文化は衰退します。
これは現代においては
- 実際に使える体験の場をもち
- 適正な対価との交換を経て
- 生活に取り入れてもらう
このことをしなければ、文化の継承はできません。
なぜなら、文化の担い手はいつも「人」であり、人の暮らしにはいつも「生活」があり、ものの購買があり、それにはいつも「お金」を必要とするからです。
だからこそ、その価値を伝えることをやめてはいけないのだと思うのです。
飽きやすい時代だからこそ。
常滑焼の急須には歴史的な背景もあるからこそ、珈琲を常滑焼のカップで出すだけでなく、急須で提供する価値があると考えています。
これは少し違う見方ですが、
例えばマルシェでの珈琲提供は1カップ500円で提供されるのが平均的だと思いますが、これは常滑にあるお店での提供プライスとほぼ同じものです。
一方では紙のカップで提供され、一方では常滑焼のカップで提供されます。
この価値が同じ?でしょうか。
ぼくはプライス面においても、この価値を低く見積りすぎているような気がしています。
伝えたい④(珈琲急須を買う前に)実際の使いやすさ
ここまで「体験が弱い」と書きましたが、本当にそうなんですね。
今お客さんが体験しているのは
- 待つ
- 注ぐ
のみ。
これでは「実際の使いやすさ」を実感することには程遠いですよね。
実際の使いやすさは
- どれだけ手軽に珈琲が楽しめるのか。
- どれだけ片付けが楽か。
の2点だと思うのです。
ここを伝えするには、やはり
- 実際の珈琲急須の抽出方法で
- 体験していただく必要がある
と思っています。
じゃあ、どうするか
というわけで「じゃあ、どうするか」という話をしたいなと思います。
結論としては
- 準備
- 蒸らし
- 知る
- 注ぐ
- 味わう
この5つの体験をしていただきたいと考えています。
書いてみると、こういうセットにするイメージで行こうかと思います。

走り書きすぎますか。笑
それぞれ見ていくと、
準備
「カップ」「急須」「珈琲粉」「お湯」の4つを用意してお出しします。そうすると、ご家庭でも何を準備すればいいのかが容易に想像できるかと思います。
本来であれば、珈琲豆をハンドミルで挽いてもらうと良いのですが、今回体験してほしいのは「コーヒーの抽出」ではなく「珈琲急須での淹れ方」です。
なので、珈琲豆はこちらで挽きます。
お湯は「茶注」に入れてもいいのですが、ご家庭で「お湯を入れておくためだけの道具」を準備するのにはハードルがあります。
珈琲急須をご家庭で使ってほしいのに、使うまでのハードルを上げるのは、、、という感じです。
実際のところは、ケトルで沸かすか保温ポットのものを注ぐのが一般的な暮らしのありような気がします。
なので
- お客さん用に電子ポットを準備するか
- 保温ポットごとお出しするか
になると思います。
湯量を測る動作があると暮らしのハードルがグッと上がるので、ざっくりと「急須いっぱい」として、コーヒー豆の量もそれに合わせてお出しすることにします。
もしかするとお一人分というよりお二人分での提供になることも考えられます。ここはもう少し考える必要がありますね。
蒸らし
常滑が位置しているのは、知多半島の中です。
知多半島では、豊かな農産物や海産物も有名です。
特に南知多町には魚の売り場がいくつもあり、観光の方で賑わいます。
その南知多にある海岸の砂はとても粒子が細かくて、南知多は「砂時計のまち」としても(密かに)知られています。
蒸らしの3分は、そんな南知多の砂時計に見守っていただくとしましょう。
ご家庭では、iphoneのタイマーや100均のりんごタイマーで十分かと思います。
知る
この3分の間に何をするか!そう「知る時間」がやってまいりました。
おそらく家の中で珈琲急須を使うとき「3分の蒸らし」の間、じっと急須の前で急須を見つめている人はいないと思います。
その間に
- 洗濯物を干したり
- テレビをつけて見たり
- スマホを触ったり
してるんじゃないかと思うわけです。
とはいえ、せっかく常滑に来たのですから、MEM.では
- 常滑についてもっと知ってほしい
- 急須についてもっと知ってほしい
- 珈琲についてもっと知ってほしい
こういう思いがあるわけです。
なので、それを「カード」という手に触れる形で、お伝えできればと思うのです。
3分の間にそのカードを眺めたり、書いてある文章を読んだり、その文章をもとに何か話をしたりして3分を楽しんでもらえたらいいんじゃないかと。
注ぐ
そして「あ、いいのかな、注いでいいのかな。」とかちょっとドキドキしながら、カップに注ぐ。
ふだんペットボトルとかお茶のボトルとかから注ぐのはあるかもしれないけど、急須から注ぐっていうことはあんまりないかもしれない。
ので「急須で注ぐ」ということを体験してもらえたらと思うわけです。
味わう
そして、味わう。
急須で淹れる珈琲を家でも楽しみたいなと思う方は、珈琲用急須をお買い求めいただいて、ご自宅で楽しんでもらえたらいいなと思うわけです。
片付けについては実際にできないのですが、イメージさえできれば十分お伝えできるかなと思っています。
珈琲急須の特徴は「浸漬法+金属フィルター+急須効果」
珈琲の油分はそのままコーヒーオイルと言われますが、これはコーヒーの「コク」や「甘み」を作ると言われています。
日本では一般的なペーパーフィルターを使ったハンドドリップをすると、ペーパーフィルターに油分が吸収され、出来上がりはすっきりした珈琲になるとされています。
他にも金属フィルターや布フィルターなどありますが、珈琲急須については、急須の内側に金属のメッシュフィルターが固定してある状態なので、金属フィルターでの抽出に近いものと言えます。
金属フィルターでの抽出の特徴は
- 油分が抽出され、コクやまろやかさを作る
- 若干の微粉が出る
浸漬法にも似た性質があります。
還元急須には、珈琲を酸化させにくくする効果があると言われていますが、珈琲オイルの抽出量が多ければ、その分酸化スピードも速いと言うことになります。
そのため、急須の効果があるとはいえ、やはり新鮮な豆を使う必要はあるかと思います。
最後に
だいぶ複雑な話になってしまいました。
ざっくりまとめると
- 珈琲急須をもっと「体験」にしたい
- 準備、抽出、知る、注ぐ、味わうの5つを体験
- 珈琲急須抽出は「浸漬法+金属フィルター+還元効果」
- コクと甘みとまろやかさ、珈琲をダイレクトに抽出
こういったところでしょうか。
これをいつ実行に回せるのか謎ですが、こういうスタイルでの提供も考えているよーと言うお話でございました。
それでは、
素敵な1日を。